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第4回  ワクチン

動物の病気

2019.02.26

犬や猫が罹患すると、死に至る可能性の強い、いくつかの伝染病があります。それを予防するのが混合ワクチンです。当院でも、毎年何頭かの動物達が、ワクチンの未接種により死亡しています。悲しみにくれる飼主さんを見るたび、「もっと強くすすめておけば良かった。」という、大きな悔いが残ります。「うちでは毎年打っている」そうおっしゃる飼主さん。『狂犬病ワクチン』と『混合ワクチン』の違いを御存知ですか?今回は、ワクチンのお話です。

獣医師にも責任がある

ワクチンというと、狂犬病ワクチンのことしか知らない人が大勢いますが、それ以外の、犬・猫それぞれに合わせた混合ワクチンがあります。

狂犬病ワクチンは、どちらかというと人を守るためのワクチンですが、混合ワクチンは動物を守るためのワクチンです。

犬、猫のワクチンが日本で一般に出回り始めて、もう50年以上になりますが、当院に来院される飼主さんの中には、いまだに混合ワクチンの存在すらも知らない方がたくさんいらっしゃいます。

これは、ワクチンの必要性や効果について、積極的に啓蒙活動をしなかった私達獣医師の責任でもあると痛感しています。

外へ出ない犬・猫も、ワクチンは絶対必要です!

「うちの犬(猫)はお外に一歩も出ないから、ワクチンは必要ないわ。」というのはマチガイです。

病原体は、そのほとんどが空気中に浮遊しています。だから、無菌室で飼っているのでもない限り、完全室内飼の動物でも感染します。窓を空けて外気を入れたり、飼主さんが外から服に付けてきたりするからです。

先日、17年間まったく病気一つしなかった健康な老犬が、パルボウィルス感染症という病気で亡くなりました。

17年間も飼主孝行だった犬の最後がこんな形で訪れるとは。

できれば老衰で天寿をまっとうしてもらいたかった。パルボウィルス感染症は、ワクチンで簡単に予防できる病気の一つです。ワクチンを打っておけば守れたはずの病気で死なせてしまうほど残念なことはありません。

家族の一員として迎えた動物達にワクチンを打ってあげることは、飼主としての義務と言っても過言ではないでしょう。

副反応より病気の方が恐ろしい

ワクチン注射時のチクッとした痛みは、病気になったときの苦しみや治療の痛みに比べれば問題になりません。

ワクチンによって起きるかも知れない副反応は、病気になった時の症状よりまったく軽いものです。アナフィラキシーショックという非常に稀な副反応を起こす確率も、病気に罹る可能性よりずっと低いものです。

そして、ワクチンの費用は、治療にかかる医療費とは比べ物にならないくらい安価です。これだけ言ってもまだ「ワクチン、どうしようかなぁ~」なんて言いますか?

ワクチンを打っている人は、来年も続けてください。今までワクチンを知らなかった人や、誤解していてまだワクチンを打っていなかった人は、ぜひ明日からワクチンを始めてください。そして散歩仲間や御近所でワクチンのことを知らない人がいたら、教えてあげてください。 

みんなで広げよう ワクチンの

輪!

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