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第16回 尿路結石症

動物の病気

2019.02.27

オシッコが出ていないようだ・・・。そんな症状が現れたら、尿路結石症の疑いがあります。ヒトだと、その激烈な痛みですぐに分るのですが、我慢強い動物達は痛みを言葉に出せません。早期発見、これはどんな病気でも重要です。動物達の変調に気付いたら、すぐにご来院下さい。

若いオス猫に多発

「尿路結石」というと、皆さんの中にもご経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

すごく痛いので有名ですよね。

尿路結石はヒト以外にも、犬や猫をはじめとしてほとんどの動物に発生します。

特に発生が多いのは若いオス猫で、砂のような結晶状の結石が形成されます。

尿路結石は、腎臓にあれば腎結石、尿管にあれば尿管結石、膀胱にあれば膀胱結石、尿道にあれば尿道結石、などとも呼ばれます。

結石が形成されると、その部位に炎症や尿路の閉塞などを引き起こします。

例えば、膀胱結石は血尿を伴う重度の膀胱炎を、尿道結石は尿道炎や尿道閉塞(オシッコづまり)を引き起こします。

膀胱炎では、頻尿や排尿時の疼痛、場合によっては発熱や食欲不振などの症状が出ます。

また、尿道閉塞は、手当が遅れると腎後性腎不全で死んでしまうこともありますので要注意です。

このように、尿路に出来た結石によって引き起こされるさまざまな症状を、尿路結石症といいます。

尿路結石症は、結石の存在する部位によって症状が違ってきますが、約9割は膀胱と尿道に関わるものであり、また尿道閉塞は尿道が長くて細いオスにおいて高率に発生します。

主成分は、ミネラル

尿路結石の主成分は、マグネシウム、カルシウム、リン、などのミネラルです。

これらは本来、尿中に溶けているものなのですが、尿が濃くなりすぎて過飽和状態になると結晶化して析出し固まって結石となります。

また、膀胱炎などに伴って、細菌や炎症細胞が尿中に存在すると、それらが核となって結石形成が誘発されるのも原因の一つとなります。

さらに、犬では、遺伝的に尿路結石の出来やすい犬種があり、例えばダルメシアンでは尿酸塩結石が高率に発生します。

 尿路結石症は、各尿路に存在する結石が原因で起こるものですから、治療は、この原因となる尿路結石を取り除くこと、そして今後もう二度と結石が出来ないようにする予防、の二方向から行われます。

尿路結石を取り除くには手術で摘出するのが基本ですが、結石の成分によっては、まだ小さいうちなら食餌やサプリメントで溶解することも可能なものもあります。

また、結石形成の予防には、食餌療法がもっとも一般的です。

水をたくさん飲ませたり、トイレを我慢させない、なども効果的な予防となるでしょう。

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