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第25回 肛門周囲の病気  Part-2「肛門周囲腺腫」

動物の病気

2019.02.27

肛門シリーズ第2弾は、肛門周囲腺の「腫瘍」です。発症部位がどこであれ、腫瘍が悪性であれば「癌」ということ。

発生初期には痛みも痒みもないこの病気、動物たちが気にしはじめる頃には、ある程度進行していることになります。

肛門近くの小さなイボ、わずかな出血・・・。些細な変化にも眼を配ることが大切です。

まずは腫瘍の切除

肛門周囲腺腫は、肛門粘膜周囲に散在する分泌腺(肛門周囲腺)の腫瘍です。

悪性の場合は「肛門周囲腺癌」と呼ばれ、手遅れになると、周囲のリンパ節、腹腔内臓器、脊椎などに転移し、やがて死に至るという恐ろしい結果を招きます。

他の腫瘍にも言えることですが、見た目では、良性か悪性かを正確に区別することはできません。

したがって、まず腫瘍を見つけたら手術で切除し、その後、病理組織検査で悪性度を確認するということが大切になってきます。

肛門周囲腺腫は雄性ホルモンが関与しているため、オスの方がメスの10倍も発生率が高く、また、去勢した動物ではほとんど発生が見られないという特徴があります。

そのため、この腫瘍の切除手術の際は、再発防止の目的で去勢手術を同時に行うというのが一般的です。

また、メスでこの腫瘍が発生した場合は、そのほとんどが悪性の肛門周囲腺癌です。

発生率は オスが10倍

肛門周囲腺腫が発生したばかりの頃は痛みも痒みもなく、動物本人はまったく気にしません。

しかし、腫瘤が徐々に大きくなり、表面が傷ついて糜爛・潰瘍・出血が始まると、動物はその部位を舐めたり、お尻を気にする仕草をするようになります。

そうなって初めて、お尻の異常に気付かれる飼い主さんが多いのですが、できればもっと初期の段階で、手遅れにならないよう早く気付いてあげて欲しいと思います。

特に外飼いのワンちゃんは、どうしても観察の眼が行き届かなくて、気付くのが遅くなる傾向にありますので注意して下さい。

また、お尻のイボに気付いてはいたけれど「様子を見ていた」という飼い主さんも多く見かけます。

肛門の近くにイボやしこり、出血部位などを見つけたら、まず、この肛門周囲腺腫を疑い、できるだけ早く病院へ連れて来るようにしましょう。

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