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第28回 甲状腺機能亢進症

動物の病気

2019.02.27

近年、コンパニオンアニマルも平均寿命が延びてきました。それに伴い、高齢者に特有の病気もクローズアップされています。

今回の「甲状腺機能亢進症」もまさにその一つです。早期発見、早期治療で、さらに長生きを目指しましょう。

中高齢の猫に多い

 甲状腺は、頚部気管の左右にあるとても小さな一対の器官で、生命の維持に重要な働きを担う「ホルモン」を分泌する内分泌腺の一つです。

 甲状腺ホルモンは、全身のさまざまな細胞の新陳代謝をコントロールする働きがあります。

したがって、甲状腺機能が異常をきたすと、血液成分、心臓、呼吸器、肝臓、腎臓、生殖器、骨、筋肉、皮膚など、全身いたるところでトラブルが発生し、徐々に生命を脅かす状態に進行します。

 甲状腺の働きが高過ぎて甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になってしまう場合を甲状腺機能亢進症といいます。

特に、中高齢の猫に多く見られ、甲状腺の過形成や腫瘍によっておこるといわれています。

食べるのに痩せてくる

 甲状腺機能亢進症になった動物は、食欲が増したり、飲水量が増えたり、性格が活発になったりします。

しかし、いずれの症状も、飼主さんにとっては元気で好ましいことのように受け取られがちなので、病気とは気付きにくいようです。

しかしさらによく観察してみると、たくさん食べるわりにはやせていく、すぐ息が上がる、呼吸が速い、嘔吐の頻度が多くなる、尿量が多い、目がらんらんとして怒りっぽい、などの異常にも気付くはずです。

とくに重要なポイントは「たくさん食べる割には痩せている」です。

 治療としては、甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬の投与が一般的ですが、場合によっては外科的に甲状腺の摘出手術が行われる場合もあります。

 甲状腺機能亢進症は、血液中の甲状腺ホルモンの濃度を測定すればすぐ診断できますので、上記の症状に思い当たりのある方はぜひ調べてみましょう

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