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第12回  狂犬病

動物の病気

2019.02.27

毎年この時期に行われる狂犬病の予防注射。日本では何十年も発生が無いということで、不必要という声も聞かれるようです。でも、狂牛病を思い出してください。鳥インフルエンザの怖さを考えてみてください。グローバル化した現在、日本だけの視点で物事を判断するのはあまりに危険です。やはり、徹底した予防が重要なのです。

死亡率、100パーセント

そろそろ、狂犬病予防の集合注射の時期がやってきます。

犬の飼い主は、年に一回、狂犬病ワクチンを接種させることが法律で義務付けられています。なぜ、必ずワクチンを打たなければならないのでしょうか?

狂犬病とは、人間を含む多くの恒温動物に感染し、脳が障害される恐ろしい伝染病です。特に、犬をはじめ、キツネ、オオカミなど犬の仲間が感染しやすいと言われています。

原因は狂犬病ウィルスで、これに感染した動物の唾液に接触すること(咬まれるなど)で伝染します。

この病気の恐ろしさは、症状の悲惨さもさることながら、いったん発病すると、その死亡率が100%に至るところにあります。

感染した犬の症状は、一般的に狂躁期と麻痺期に分けられます。

狂躁期には、狂犬病という名前のとおり狂暴性や神経過敏が現れ、みさかいなく咬み付くようになります。人間は、この時期の感染動物に咬まれて感染することが多いと考えられます。

麻痺期は、狂躁期ほど激しい症状が見られず診断がつきにくいこともありますが、麻痺のために食べることが出来なくなったり、呼吸が麻痺して、死亡の原因になります。

このおそろしい狂犬病は、現在でも、世界中の野生動物、特にイヌ、キツネ、スカンク、コウモリに発生しています。

特に危険の高い地域は、タイ、インド、ネパール、南米、アフリカで、こうした地域では、いまだに多くの飼い犬も感染しています。そして、人間の感染死亡者も後を絶ちません。

日本だけ、は通用しない

日本では、昭和33年以降、狂犬病の発生はみられていません。これは、狂犬病予防法のもと、国民全体の努力の結果によるものです。私達は、これからもこの努力を続け、未来につないで行かなければなりません。

現在、一部の人々の中で、「わが国では約40年もの間、狂犬病が発生していないのだからから狂犬病の予防注射は必要ないのでは」、と囁かれている実情があります。

しかし、それは、「誤った考え」です。

諸外国では今でも狂犬病が多発しており、この国際化時代の中、いつ、狂犬病が日本に侵入してくるかわからないからです。いくら検疫所で見張ろうとも、動物の密輸も、後を絶ちません。

このような状況で、狂犬病からわが国を守るのは、現在行われている犬の狂犬病予防注射の徹底です。一番感染しやすい犬に予防注射が行われていれば、もし日本にウィルスが侵入しても、大きな被害を出さずにすむからです。

こういった理由から、犬を飼う人は、社会に対する責務として、犬の登録と狂犬病の予防注射が是非必要であることを理解していただきたいと思います。

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