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第14回  腫瘍

動物の病気

2019.02.27

人がかかる病気の大部分は、動物達にも同じように存在します。そして、残念なことに、人で難治性の病気は動物においても同様です。代表的な例は「癌」でしょうか。癌とは悪性腫瘍のことですが、この病気は年齢を重ねるにしたがって罹患率が高くなってきます。有効な治療・予防が確立していない現在、早期発見が重要なのです。

腫瘍は全ての動物に発症する

「犬にも癌なんてあんのがい?」

「はい、あるんですよ。」

日々の診療の中で、何度も繰り返された会話です。

腫瘍は、人を含めた全ての動物に発生する疾病です。腫瘍の発生は遺伝子レベルの異常から始まり、その異常は様々な要因から誘発されることがわかってきました。

しかし、腫瘍の治療や予防に関してはまだまだ研究途上であり、多くの動物において悪性腫瘍は死亡原因の上位にあげられています。

皆さんがよく知っている「癌」とか「肉腫」とかいうのは、悪性腫瘍のことです。それに対して、良性腫瘍というものもあります。この、良性・悪性の違いは、予後に大変関係してきます。

例えば、犬によく発生する乳腺の腫瘍で考えてみます。犬の乳腺の腫瘍のうち、約50%は、良性乳腺種です。そして残りの50%は、乳腺癌です。

良性乳腺種の方は、腫瘍のしこりはどんどん大きくなってきますが、3~4年経っても犬はいたって元気です。

ところが、乳腺癌であった場合、腫瘍のしこり自体がそれほど大きくなくても、間もなく肺に転移して、あっという間に死んでしまうことになるのです。

犬や猫では8歳・・・腫瘍年齢

腫瘍は、高齢になるほど罹りやすくなる病気です。犬や猫でいうと約8歳以降が腫瘍年齢と言われます。

もちろん、若齢の動物でも罹患する場合もありますから、安心は出来ません。

また、猫の場合、猫白血病ウィルス(FeLV)や猫エイズウィルス(FIV)に感染していると、若いうちから遺伝子レベルの異常が起こりやすく、腫瘍になりやすい身体になってしまうことがわかっています。

繰り返しになりますが、腫瘍に対しての効果的な予防法・治療法が確立されていません。早期発見、早期治療だけが、完治への可能性を高めるのです。定期的な健康診断をぜひ続けてください。

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