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第21回 熱中症

動物の病気

2019.02.27

長梅雨が明けたと思ったら、あっという間に猛暑がやってきました。元々、例年より厳しい暑さが予想されていた今年、夏本番はこれからのようです。体温調節機能が上手に働かなくなる「熱中症」は、この季節に多発します。身体が被毛に覆われている動物達には、ヒト以上に暑さがこたえます。暑さ対策には万全を期しましょう。

過剰な熱で体温調節不能

 熱中症とは、過剰な熱が体内にこもることによって、身体全体に様々なダメージが起こる病気です。

高体温が持続すると、血液の循環が悪くなり、ぐったりして意識の低下を起こします。そのまま放置すれば死亡することも多い、緊急性のある怖い病気です。

本来、犬や猫などの恒温動物は、過剰な熱が体内にこもらないよう体温を調節する機能を持っており、体外環境の気温に左右されることなく一定の体温を保つことが出来るようになっています。

しかし、夏場、気温や湿度が高くて風もないような所に放置されたり、炎天下で散歩をしたりすると、体温調節機能の限界を超え、熱中症を起こす危険性が出てきます。

人の場合、体温調節能の低い幼児や高齢者に起こりやすいといわれいていますが、体表面が被毛に覆われ汗腺もほとんどない動物は、さらに熱中症に陥りやすい身体構造であると言えます。

特に、パグやシーズー、ペキニーズなどの短頭種犬は、のど(咽喉頭部)が狭く、体温放散の主役である呼吸換気機能に問題があるため、さらに注意が必要です。

また、肥満した動物も、首の部分に付いた脂肪が気管を圧迫するため呼吸機能が低下し、熱中症に罹りやすくなります。

素早く的確な応急処置を

 熱中症でぐったりしているのが確認されたら、まず体温を下げる処置をしなければなりません。

まだ意識があれば冷たい水や人間用のスポーツドリンクなどを飲ませ、体中に水をかけて扇風機やエアコンの風を当て気化熱を利用して体温を下げます。

この時に、あまり冷たい水をかけると、逆に皮膚の毛細血管が収縮してしまい、冷却効果が低くなってしまいますので注意が必要です。

また同時に、腋下や鼠頚部、首などに部分的な冷却パックを当てたりするのも効果的です。

熱中症になって助かるかどうかは、どれくらい高体温になったか、どれくらい高体温が持続したかにかかっています。

ですから、発見したらすぐに出来るだけ早い応急処置を施し、それから動物病院へ連れて行きましょう。

 夏場に愛犬や愛猫を留守番させる時には、クーラーのない締め切った熱い室内や車内に置き去りにしたり、庭で鎖に繋いだまま日陰に入ることができないなどの状況にならないよう、十分注意をしてください。

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