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第11回  風邪

動物の病気

2019.02.27

「風邪は万病の元」とは人社会でよく言われるところです。風邪自体はそんなにひどい病気ではないけれど、たかが風邪と馬鹿にしているとひどい余病に罹りやすくなりますよ、という意味でしょうか。これが、動物たちだと事情がすっかり変わってきます。「風邪」自体がとても致死率の高い重病なのです。

「風邪」は重病!!

最近とても寒くなってきて、よく聞かれるのが、「動物も風邪をひくの?」という質問です。 答えは「イエス!」です。

風邪というのは、いろいろな原因によって起こる、呼吸器の急性炎症性疾患の総称(急性上気道感染症、急性呼吸器感染症)であり、ある単一の原因による一つの独立した病気ではありません。このため正確には、「かぜ症候群」あるいは「かぜ疾患群」と呼ばれます。

動物の風邪の原因で一番多いのはウィルスの感染です。人でもインフルエンザウィルスなどは、よく知られていますね。犬ではジステンパーウィルス、猫ではヘルペスウィルスなどが、代表的な風邪の原因ウィルスとしてあげられます。

ワクチンでの予防が一番

あるところの調べによると、一年間に成人一人がかかる風邪の回数は5~6回だそうですが、犬や猫はそんなにしょっちゅう風邪をひくことはないようです。

しかし、重要なのは、その致死率です。犬や猫の風邪は、一度発症すると、重症な経過をたどることが多く、その死亡率は人のインフルエンザによる死亡率をはるかに超えてしまいます。

風邪は、人にとってもっとも身近な病気であるため、風邪はごく軽い簡単な病気であり、ほうっておいても治るものといった誤った認識をされがちですが、動物の風邪は特に重篤な経過をたどることが多く、しばしば死亡したり重い後遺症を引き起こしますので、とても注意が必要です。

「風邪をひいたかなと思ったらすぐ病院!!」

を合言葉に、早期治療を心がけてください。

症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、咳、痰といった呼吸器の症状から始まり、やがて発熱、全身の倦怠感、食欲不振といった全身症状が出てきます。時には下痢、嘔吐などの消化器症状も伴い、さらに犬ジステンパーでは脳炎を起こし痙攣発作などを起こすこともしばしばです。

運良く症状が改善したとしても、慢性鼻炎や、テンカン様発作などが一生後遺症として残ってしまう場合も多く見かけられます。

風邪の予防は、なんといっても「ワクチン」です。犬や猫の、特に重要な風邪の原因ウィルスに対しては、20年以上も前から とても良いワクチンができています。ぜひぜひ、ワクチンを接種して、風邪から可愛い家族を守ってあげてください。

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