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第8回  白内障

動物の病気

2019.02.26

年齢を重ねるにしたがって白内障になるということは、自然な生理現象ともいえます。しかし、それを放置することは、進行を早めたり、余病の原因にもなります。早期発見し進行を遅らせること、それも立派な治療なのです。

老齢犬に多い、白内障

おじいちゃん、おばあちゃんは、白内障になっている人が多いですね。犬や猫も同じで、特に犬では歳をとってくるとほとんどの子は白内障になってきます。

「白内障」とは、眼球の中にある水晶体(レンズ)が白く濁ってくる病気です。水晶体は、光の焦点を合わせて網膜に通す装置なので、白く濁ってしまうと光が通らなくなり、曇りガラスを通して見たようになってしまいます。

人間の場合は、段々と新聞や本が読みずらくなったりしてきた時点で気がつき、早期に眼科での治療を受けることができます。

しかし、動物は飼主に「このごろ、見えにくい」などとは言わないし、勝手知った家の中や散歩道などであれば、意外にスイスイ歩いたりするのでなかなか気付いてあげることができません。

白内障の原因で一番多いのは、「老化」です。おもに6~7歳(早ければ5歳)になると、大抵の犬は水晶体の中心部から白濁が始まってきます。これは、白髪が出てくるのと同じことで、生理的な現症です。

しかし、そのまま放置すると、どんどん白濁は広がり、虹彩炎や角膜白濁を引き起こしたり、網膜の視細胞がダメージを受けたりしてついには失明してしまいます。

遺伝性の病気で若年性白内障というものもあります。これは、1~2歳未満で進行性網膜萎縮という網膜疾患になり、それに伴って白内障になっていくことが多いようです。この病気は、いまのところよい治療法は見つかっていません。

手術による視力回復も。。。

糖尿病から網膜疾患と白内障を併発するケースもあり、また、最近ではアトピー性皮膚炎から白内障を併発することもあると論じられるようになってきました。これらの場合は、白内障の治療だけをしていてもだめで、原因疾患の治療をすることが先決になります。

老齢性白内障の初期は点眼薬や内服薬で病気の進行を遅らせることができます。しかし、いずれは段々と白濁の程度は進んできます。現在は、ある程度進行した時点で、動物の眼と身体の状態が良ければ、手術により眼内レンズを入れて視覚を回復させる事ができるようにもなりました。

白内障に関しては有効な予防手段はありません。あえていえば、陽射しの強い日中の散歩を控えたり、若い時から年に一度くらい眼の定期検査をして早期治療ができるようにしておくとよいでしょう。

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