Blog ブログ

第23回 犬の網膜変性症(PRA)

動物の病気

2019.02.27

眼が見えなくなる!

 犬の網膜変性症(=進行性網膜萎縮:PRA)は、徐々に眼が見えなくなる眼疾患です。

視覚障害を起こしているにもかかわらず眼の外観は正常であるため、見た目ではなかなか気付くことができません。

あらゆる犬種で発症すると考えられていますが、ある特定の犬種で特に多く発症が見られることから、犬種依存性の遺伝性眼疾患であると考えられています。

家庭犬の中で発症の多い犬種は、ミニチュア・ダックス、トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザー、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、アメリカン・コッカー・スパニエル、などです。

 網膜変性が始まると、動物はまず夜盲症となります。

夜盲症は、夕暮れや暗い場所では物が見えないという症状を示します。

昼間や明るい場所では普通に行動できるので、飼い主さんは「目が見えなくなってきている」と気付かないことが多いようです。

発症は、6週齢~1歳齢くらいから始まる早期型と、6ヶ月齢~6歳齢くらいから始まる遅発型があります。

 残念ながら、現在この病気は治すことができず、最終的には完全に失明します。

しかし、できるだけ早期に発見し、まだ視覚の残っているうちに治療を始めれば、症状の悪化を遅らせる事ができます。

気になる行動は要注意

 犬は嗅覚や聴覚などが発達しているため、眼が見えなくても視覚以外の感覚によって外界の様子を鋭く感じ取り、普通とそう変わらない生活をしている場合があります。

また、飼い主さん自身、少し変だと感じても、その子の性格や癖のせいだと思うだけで済ませてしまうことも多くあります。

しかし、例えばもし、ウチの犬は…「散歩が嫌い」「知らない人を怖がる」「鼻先で食器を確認してから食べる」「知らない場所では歩かない」「不用意に近づくと吠えたり咬んだりする」「臆病」「怖がり」「いつも眼がビー玉みたいにきれい」などの不思議な行動や特徴を感じている飼い主さんがいらっしゃるならば、一度はこの網膜変性症を疑ってみる必要があるでしょう。

 また、この病気になりやすい犬種をお飼いになっている場合には、特に注意して日常の行動を観察し、少なくとも6歳くらいまでは定期的な眼底検査をすることをお勧めします。

この記事をシェアする