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第18回 アレルギー症

動物の病気

2019.02.27

日々の診療で、アレルギー症の患者さんを診ない日はない、と言っていいほど、多くの動物達がこの病気で苦しんでいます。アレルギー症の治療には、飼い主様方の協力が欠かせません。アレルギーの本質を理解して、共に闘って行きましょう。

アレルギーは、過剰な免疫反応

アレルギーとは、ある蛋白質に対して身体が過剰な反応を起こすことを言います。

例えば子供がふざけて「ボクは算数アレルギーだ」などという時ように、何かに対して過剰に、そして好まれない反応を示す状態のことです。

犬や猫のアレルギーの場合、先の算数にあたるものが食物であったり、家の中のダニであったり、花粉であったりするわけですが、それ以外にもこの世の中のありとあらゆる蛋白質がアレルギーの原因となり得まます。

蛋白質というとすぐに肉や魚を思い浮かべますが、米や小麦を始めとして多くの野菜、果物にも、微量ながら蛋白質が含まれています。

また、昆虫や、植物、花粉なども蛋白質を含んでいます。その中でも特にアレルギーの原因となり易いのは、小さい頃から常に接している蛋白質だといわれています。

好発部位は、皮膚と耳

 アレルギーを起こす時に身体の中で活動しているのは免疫系です。

免疫系はもともと外界の有害なものから身体を守るシステムで、生きていく上で無くてはならない大切な防衛機能です。

しかしアレルギー体質の場合、ある特定の蛋白質に対する免疫反応が過剰で、自分の身体を痛めつけるほど激しく反応してしまいます。

つまり、その過剰な反応が皮膚で起これば身体が痒くなり、消化管で起これば吐気や下痢の症状が出るというわけです。

特に犬の場合はアレルギーの症状が皮膚に出やすく、また、皮膚の延長上にある耳もアレルギー症状の好発部位です。

アレルギー反応でダメージを受けた皮膚はバリアー機能が損なわれ、細菌や真菌(カビ類)などの感染も起こし易くなります。

そうなると痒みはますますひどくなり、皮膚の状態も悪化して容易には元の状態に戻すことができなくなります。

アレルギー症の治療には、実に様々な方法が試みられていますが、完治出来る事はまれです。

しかし、きちんとした治療を行うことで症状のコントロールをすることは可能です。

言葉を話せない動物達は、痒みや痛みを「仕草」で表現しています。

飼い主の皆さんは、動物たちの仕草をよく観察し、早く気付いてあげてください。

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