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がんのお話

プチコラム

2023.06.01

がんは、遺伝子が傷つくことによって起こる病気です。細胞が無秩序に増殖して体の中にかたまりを作り、このかたまりが腫瘍と呼ばれます。腫瘍には悪性腫瘍と良性腫瘍がありますが、この悪性腫瘍の方を「がん」と呼びます。がんは、周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)します。つまり、「腫瘍」のうち、浸潤・転移するものを「悪性腫瘍=がん」と呼びます。

「がん」と「癌」

「がん」とは、悪性腫瘍の総称です。悪性腫瘍は、どの組織や臓器からでも発生することがあります。

「癌」とは、上皮細胞から発生する悪性腫瘍を指します。上皮細胞とは、体の表面や内側を覆っている細胞です。例えば、肺がんや胃がん、乳がんなどは上皮細胞からできた癌です。鋭い人は、肺や胃って上皮なの?と思われるでしょう。どちらも体の内側にある内臓です。しかし、よく考えると、肺も胃も空気や食べ物と触れていますよね。外界と接している細胞という意味で、肺や胃は、上皮に分類されるのです。

がんには他に、肉腫、血液腫瘍、悪性黒色腫、神経芽腫、脳腫瘍などの種類があります。悪性〇〇腫、〇〇肉腫、○○癌、〇〇がん、〇〇性白血病と言った名称であれば、それが悪性だと分かります。

逆にそれ以外の名前、例えば胃腺腫、皮脂腺腫、脂肪腫などは良性だと分かります。

犬の腫瘍別発生率ランキング

日本で最も多い悪性腫瘍は、皮膚腫瘍です。これは、皮膚の表面や毛包などにできるがんで、約30%の割合を占めます。

次に多いのは乳腺がんで、約20%です。ただし、避妊手術をしていないメス犬の場合は乳腺がんが約40%でトップとなります。これは、主に避妊手術を受けていないメス犬に発生するがんで、早期避妊手術が重要です。初回発情前に避妊手術をすれば、発生率はほぼ0%です。

その他にも、悪性リンパ腫(約10%)、骨肉腫(約5%)、肝細胞癌(約5%)などがあります。

猫の腫瘍別発生率ランキング

日本で最も多い悪性腫瘍は、悪性リンパ腫です。これは、リンパ系組織にできるがんで、約30%の割合を占めます。悪性リンパ腫は、ウイルス感染や免疫不全などが原因となることがあります。ウイルスが原因の場合は、外に出さないこと、多頭飼いをする場合はウイルス検査をすること、感染のリスクがある場合はワクチンをすることが重要です。

次に多いのは皮膚腫瘍で、約15%です。これは、犬と同じく皮膚にできるがんで、日光やホルモンなどが影響することがあります。

次に多いのは乳腺がんで約10%です。ただし、避妊手術をしていないメス猫の場合は乳腺がんが約30%で悪性リンパ腫と並ぶくらいになります。これも犬と同様、初回発情前に避妊手術をすれば、発生率はほぼ0%に出来ます。

その他にも、口腔内腫瘍(約10%)、肺癌(約5%)などがあります。

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